フィリピン中部、ネグロス島南部に位置する ドゥマゲッティ(Dumaguete)。そこは学生の街、ゆったりとした沿岸都市として知られますが、水面を少し下ると、実は“人気のダイビング・エリア”として、ひそかな注目を集めています。
特に「アポ島(Apo Island)」と「ダーウィン(Dauin)」は、透き通る海、珊瑚、マクロ生物、ウミガメといった海中ドラマが同居する場所。
この記事では、潜るべきスポット、現地ショップ、注意点、旅程案などを交えて、ドゥマゲッティ・ダイブ旅の魅力を掘り下げます。
目次
潜るべき海、二つの顔
ダーウィン(Dauin):マクロの楽園
ドゥマゲッティ市街から車で南へ向かい、海岸線に沿って広がるダーウィン地域。ここは マクロダイビング(泥底・砂底での小型生物撮影) の名所として知られています。ニシキフウライウオ、カエルアンコウ、ウミウシ、ミミックオクトパスなど、撮影好きダイバーにはたまりません。
多くのポイントは海岸からエントリー可能で、浅めでゆったりした海況が多いのも特徴です。水温は約 28〜29 ℃が標準。乾季(10月〜6月)がベストシーズンです。
アポ島(Apo Island):サンゴとウミガメの海
ダーウィンからボートで 30分〜40分ほど。アポ島は 海洋保護区 に指定され、サンゴ礁の密度と多様性、ウミガメとの遭遇率の高さで人気です。

この島の周囲には 10〜12 のダイブサイトが点在し、初心者向けのリーフダイブから、流れのあるドリフトや中級~上級向けの壁潜りまで対応可能。
訪れる際は、環境保護のための入島料(外国人向け:PHP300 など)を支払う必要があります。
現地で頼れるダイビングショップ・センター3選
旅を安心かつ濃密にするために、信頼できるショップ選びは鍵です。以下はドゥアイン/ドゥマゲッティで評価の高いおすすめ店です。
1. ラッキー・ダイビング・ショップ
PADIの日本人経営ダイビングショップ。
現地で20年以上の実績で安心です。
日帰りアポ島ツアーや沿岸コースを用意しており、器材レンタルも整っています。
2. Bongo Bongo Divers
欧米系顧客に人気のショップ。
環境配慮型の運営を重視。
小グループ制で丁寧な対応が好評。アポ島や沿岸のサイトを案内。
3. Mabuhay Dumaguete Dive Center
ダーウィン浜辺に近い、韓国人経営のショップ。
初心者向け~中級ダイバー向けのコースが揃っています。
快適な施設とロケーションが魅力。
番外
また、市内にあるHarold’s Dive Center もアポ島・ドゥアインでツアー運営をしており、信頼できる選択肢です。 haroldsdivecenter.com+1
ダイビング旅を楽しむためのポイント
旅程の例(4〜5日滞在)
| 日数 | 主な行動 |
|---|---|
| 1日目 | ドゥマゲッティ到着、ダーウィンへ移動、ショップとの打ち合わせ |
| 2日目 | ダーウィン沿岸ダイブ(マクロ中心) |
| 3日目 | 日帰りアポ島ツアー(3本ダイブ+スノーケル) |
| 4日目 | 予備日・お土産・市内散策・居酒屋ひまわりで打ち上げ |
| 5日目 | 帰途 |
ベストシーズンと注意点
メインシーズン:10月~5月が海況安定期。6月~9月はモンスーンや風波に注意。
月の満ち欠け:満月時は流れが強くなる可能性あり。
器材チェック:BCD、レギュレーター、ライト、カメラ機材など、整備や清掃状態を事前確認。
環境への配慮:ニーズに応じて、サンゴを触らない、浅場でフィンを振らないなどのガイドルールに従う。
ダイブ保険・体調管理:耳抜きの準備、体調悪化時は無理をしないこと。
なぜドゥマゲッティの海は特別なのか?
多様性とアクセス性の両立
ダーウィンは敷居の低さで「マクロをじっくり見る楽しみ」を提供し、アポ島は「珊瑚の大海原とウミガメの共演」へと誘います。この二つの異なる海を手軽に行き来できるのが、この地域の強み。
地元主導の保全活動
アポ島は、地域住民が海洋保護区の管理に関わる コミュニティベースの保全 モデルとして知られています。 また、ドゥアインにもマリン・サンクチュアリ(禁漁区)が複数設置されており、海中生物の棲息環境保護が進められています。
継続しやすい旅スタイル

ダイビング主体でも、ゆったり滞在も、観光をはさむスタイルでも対応できる懐の深さがあります。物価も過度に高くはなく、交通アクセスも比較的良好。移動疲れを囚われず海を楽しめます。
アフターダイブも楽しい!ドゥマゲッティ街歩きと食の誘惑
ドゥマゲッティの魅力は、海だけでは終わりません。
ダイビング後の時間を、市内でのんびり過ごすのもおすすめです。

街の中心「リサール通り(Rizal Blvd)」には、海を眺めながら食事ができるカフェやバーが並び、夕暮れどきには学生や旅行者が集まります。
名物のシルバナス(Silvanas) や Sans Rival(サンスリバル) は、地元発の人気スイーツ。
ほろ甘いバタークリームとサクサクのクッキー生地は、疲れた体にちょうどいいご褒美です。
夜になれば、港近くの屋台通りでグリル料理やシシグ、フルーツジュースなども楽しめます。
地元の人と肩を並べて食べるそのひとときも、旅の記憶に残る瞬間。
「潜る」と「歩く」を組み合わせることで、ドゥマゲッティの街はさらに深く味わえるのです。
ダイビングの楽しみ方・番外編:MCPで“海を守る滞在”を
もし時間に余裕があるなら、Marine Conservation Philippines(MCP) での滞在もおすすめです。
https://marineconservationphilippines.org/
ダーウィンからさらに南下したザンボンギータ郊外に拠点を置くこの団体は、環境保全と教育を目的とした非営利組織で、ダイビングを通じてサンゴ礁の調査や海洋ごみの回収、データ収集活動などに参加できます。
短期ボランティアから数週間の滞在型プログラムまであり、初心者でもインストラクターと共に安全に活動できるのが魅力。
単なる「潜る旅」ではなく、「海を学び、守る旅」。
そんな体験を求める人に、MCPは静かな感動をくれます。
締めに ― 海が呼ぶ声を聴きにいこう
水面を越えて深く潜れば、生きものたちの息遣いが聞こえてきます。透明な珊瑚の間を群れ魚が舞い、壁沿いをゆらめきながら潜む生き物たちが、あなたの視線を引きつける。
ドゥマゲッティの海は、派手な演出こそ少ないかもしれませんが、その「静かな劇場性」に、訪れる人は魅了されます。
「陽光と海風と静寂の狭間で、自分の海物語を刻む」――
その旅路を、ドゥマゲッティに託してみてはいかがでしょうか。






















