コロナで外出制限・営業制限があるなかで、映画・ドラマを見る機会が自然と増えます。
このほど、たまたま発見した「水滸伝」中国ドラマ(華流)版の日本語吹き替えを見つけてしまい、ハマってしまいました。。
はずかしながらこの歳になってはじめて中国4大奇書のひとつとされる水滸伝を見ました。
小説や映画、漫画にもなっている名作なのですが、なぜか縁なく、また興味もなく、今まできていました。
しかし視聴した感想は・・・
「なにこれ超おもろいじゃん」
先日視聴してがっかりだった「鬼滅の刃」にくらべたら雲泥の差で面白いです。
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物語を通してベースになる設定は、とにかく笑えるほど「官」が腐敗していて、
悪いのは役人・政治。だから山賊が増える。
ならばその山賊の立場から世の中を正すのである。
まあ今のフィリピンもこんな感じかもしれません。
水滸伝の背景・ストーリー概略
『水滸伝』とは「水のほとりの物語」という意味であり、「水のほとり」とは、本拠地である梁山泊を指す。反権力的な傾向であるため、しばしば禁書となったものの広く愛読され、現在も文学として高く評価されている。 引用:ウィキペディア
「明」の時代(1368年 – 1644年)にまとめられた、ほんの少しの史実をもとにしたフィクションです。
舞台は北宋の時代(960年 – 1127年)。モンゴル帝国がガンガンくる少し前です。
当時、中国には「好漢(こうかん)」と呼ばれる、強くて正義感が溢れるのだが、社会のつまはじき者、酒を飲みまくる男たちがたくさんいて、一方で悪者的な役人や盗賊もはびこっていて、そんな中で正義の味方である「好漢」たちが、だんだんと「梁山泊」と呼ばれるアジトに集まって行き、勢力をつけて諸悪と戦っていく、というストーリーです。
最初「梁山泊」は悪の巣窟のように思われていたが、だんだんと声望が高まり、社会にも認めらる組織になっていくようです(視聴途中)。
面白いのは、「ドラゴンクエスト4」のように、各話で主人公が交代して、それぞれの「好漢たち」がフォーカスされます。
そして後のほうで出会い、仲間になっていくという仕立てになっているところです。
だんだんと仲間が増えていくのを俯瞰して見るという点で、ドラクエ4のようでもあり、ワンピースのようでもあります。
この「好漢」たちは、すぐに酒と肉を注文します。
「親父!酒と肉だ!なに酒がないだって?ふざけてるのか親父?」
という感じで荒々しい気性です。
もちろん昼からでも朝からでも飲みます。
この「好漢」たちは、すぐに義兄弟になります。
「おぬしもなかなかの好漢だな!よし兄弟になろう。酒だ!乾杯しよう!」
「兄者、拝礼させてくれ!死ぬときは一緒の日だ!」
という感じで義や情けにあつい感じです。
兄弟の危機には命をはって助けます。
酒が弱いと好漢から見下されそうです。
この「好漢」たちは、すぐに不倫されます。
「兄者、、言いたくないんだが奥方は不義をしているぞ。。」
「なに〜!?」
という感じで、女性にだまされ、殺して、没落して、梁山泊行きというパターンです。
女性に対する表現がちょっとひどすぎという印象もあります。
主人公も不倫で殺して没落しました。
このちょっと好感がもてるやさぐれもの、「好漢」たちが人助けをしたり仇討ちをしたりしながら梁山泊にだんだんと集まり、勢力をもち、大きくなっていくストーリーです。
華流ドラマ「水滸伝」おもしろキャラ(私見)
面白いなと思うキャラ、いや、悲惨な人生だなと思うキャラをいくつか。
以下は梁山泊メンバーなので、みんな味方側キャラです。
- 魯智深(ろちしん)
<戦闘力98・知力5・運1>
もともとは役人でしたが、可愛い娘を助けるために人を殺して、逃げて、僧侶になります。しかし僧侶になっても酒がやめられず、仁王像や墓を壊しまくって破門になります。ちなみに助けた娘は一旦は名家の嫁になり幸せになりますが、すぐに家族もろとも逃げ出すことになり消息不明になります。魯智深を僧侶にして逃したのがこの娘と家族だからです。 - 林冲(りんちゅう)
<戦闘力98・知力60・運1>
もともとは軍の教官でしたが、悪代官から嫁にちょっかいを出されたあげく、罪をきせられ、流刑になり、流刑途中で殺されそうになったりします。なんとか生き延び、その後は幸運な出会いを重ね梁山泊でも指折りの強さの棟梁になります。流刑後、嫁は自害して家も焼け落ちます。 - 黑旋風(こくせんぷう)
<戦闘力90・知力2・運3>
とにかく強くて粗野で浅はかで汚いキャラNO1です。故郷を訪ねたときに母を虎に食い殺されます。斧を武器にしてすぐに人を殺したり家を焼いたり、子供を谷に落としたりします。 - 扈三娘(こさんじょう)
<戦闘力92・知力50・運30>
女将軍です。男ばかりのこのストーリーで異彩をはなつ女性キャラでとても強くて美しいです。もともとは地方豪族の娘ですが、父親を他の豪族に謀殺され、梁山泊との戦に敗れた後に梁山泊の一員となります。超ブサイクな好漢と結婚して嫁になります。
華流ドラマ「水滸伝」の特徴
この善悪さだからぬ、でも少し善よりの「好漢」たちが繰り広げるストーリーやキャラクター像だけでも面白いのですが、これが華流ドラマになるとさらに味わい深くなります。
- なんとも気になってしまう特徴的な表情。
- なんとも気になってしまう汚さ。
- 日本語吹き替えの絶妙さ。
あまり日本のアクターたちにはないような、スーパーオーバーリアクションな悔しそうな表情、悪だくみの表情、変態的な表情をみることができます。
酒をこぼしながら飲んで、歯並びがわるくて、食べながらしゃべって、最高に臨場感のある汚さです。
この吹き替えをした人、声優さんは天才じゃないかなと思うほど、上記の華流ドラマの雰囲気にマッチした日本語吹き替えです。自分も中国にいるような気分になってきます。
↓DVDがアマゾンで売っています。
漫画版「水滸伝」にも期待!
私見・不勉強ですが、まだこの名作「水滸伝」には現代風にアレンジされた最新作マンガがないように思います。
たとえば、
三国志 → 蒼天航路
始皇帝 → キングダム
ギリシア・ペルシア → ヒストリエ
日本の戦国・幕末 → なんか忘れたけどあるような
のような、要所要所を集約して膨らましてアレンジして魅力を付け加えたような現代の名作がまだ不在?と思います。
もちろん過去には北方謙三さんの小説、横山光輝さんのマンガがありますが、若者向けリメイクがまだだと思います。
↓マンガ版水滸伝
基本的に正義の味方設定のようで、かならずしも道徳的でない素行、ときに感情的・非道的に動くキャラクターたち。綺麗事だけじゃない感じがとても惹きつけられます。
この「存在のあやふやさ」、「矛盾・皮肉をふくんだ」感じはワンピースやドラクエのような形では描きにくいのかもしれませんが。。